2020年12月29日火曜日

現れた王様

 新年明けましておめでとう!とフランス。キリストが神の子として見出された日(1月6日)のお祝い(公現祭)はガレット・デ・ロワできまり!らしい。家族で囲むガレット・デ・ロワにフェーブを仕込む。フェーブは幸運を呼ぶ小さな陶磁器のお人形。切り分けたガレット・デ・ロワにフェーブがあった人が王冠をかぶり一日王様、女王様になり祝福される!…らしい。

 そして、6日じゃないけどあかぐまはお迎えしました。王冠をかぶったLindtのガレット・デ・ロワ!輝きがすごい。チョコレート色のサクサクパイ生地、アルコール入りガナッシュ、よくわからないが上の粒。すべての層の味が違う!それぞれ美味!口の中であわさった時のハーモニーがいい!チョコレート味の何かより、チョコレートそのものが好きなあかぐま。しかしこれは違う。なんかもう別物だ!これははじめてだ!…と感動しました。

 ちなみにLindtさんは食べられるフェーブとしてローストナッツ、陶磁器のフェーブをおまけとしてつけてくれる。金色の小さなホワイトチョコレートのリンドール。…かわいい。

 こうして、あかぐまの家に向かい入れた王様…ガレット・デ・ロワはその存在感を現し幸せをもたらしたのだった。















cuoca”ガレット・デ・ロワの楽しみ方”参照。

2020年12月27日日曜日

形の思考、厚みの思惑、名称の複雑

  ただの四角、されど四角。まるで科学や数学のよう。思惑と計算が薄さに種類を設けたのだ。板チョコレートのでさえ、そのブランドごとにかなりの工夫がされている。その工夫でくちどけ、味わいが変わるのだから、こだわるしかない。


 タブレット、板状のチョコレート。オーソドックスなチョコレート。四角とは限らない(英語だと板チョコレートはチョコレートバーだ)。

 ナポリタンは一口サイズのチョコレート。それまで固まりの大きい板チョコレートしかないのでフランスのWeiss社が旅行者のため一口サイズをつくったのがはじまり。異国の名前をつけたら売れるのではと、つけられたらしい。

 カレ、またはキャレ。一口サイズの薄い正方形の板状チョコレート。フランス語で四角。まま厚みがあるのかなと。日本で代表的な森永さんの”カレ・ド・ショコラ”の公式ホームページには、フレーバーチャートとか合うドリンクとか載っている。

 シン、薄いという意味。Lindtのスイス・シンは2ミリほどの厚みしかない。その薄さゆえのくちどけ。


 かるくあげてみましたが、ひとつの名称でさえブランドごとに意味、形が違う。そのこだわりがすごい。また、板チョコレートでさえ味、香り、くちどけのため厚みを変える。うーん…深い。

 あかぐまがなぜこんな話をしたかというと、きらきらデザイン、しっかりした箱のLindtのスイス・シンを購入したからだ。いやぁ、あの薄さが…この薄いものがと感銘を受けたからだ。ゴツイ、重い板チョコレートも大好き、だがこの…感じもたまらない。まるで別物、薄いと飲み物と余韻をあじわいたくなる。やはりこちらもはまるしかない。










森永カレ・ド・ショコラ、チョコレートココア協会、サイト参照。

見る味覚、美味しい視覚。

  世の中では年の瀬、あかぐまにとって今日はこっちに引っ越して記念すべき1年目。なのでパーティーをとりおこなう。美味しいごちそうに舌鼓。そしてデザートと映画。いや、デザートに映画。ずっと温めていた計画を実行。あの”チャーリーとチョコレート工場”を見ながらチョコレートを食べるという視覚も味覚も…というチョコレート尽くしのひととき。

 ”チャーリーとチョコレート工場”はイギリス人、ロアルド・ダール氏の”チョコレート工場の秘密”をもとにつくられた。2005年のもの。かのティム・バートン監督の映画。ティム・バートンワールド全開のちょっとのアイロニカルとユーモア、きらびやかファンタジーな映像。奇妙な個性的かつチョコレートを取り巻く人々と世界。この映画を初めて見たとき、まるで、チョコレートを食べた時の感覚を視覚化しているみたいにあかぐまは感じた。何度もみてしまう。依存性が高いのかな。そういえば、2018年になくなってしまったがウォンカチョコレートもはまってしまう味だった…。パッケージも個性的でとろけるキャラメルのシェルチョコレート。外国製特有の大きさ、存在感が良かった。

 ロアルド・ダール氏の作品をもう1つ映画で見たことがある。”マチルダ“だ。天才少女の話で、そこにでてくる意地悪な校長が大のチョコレート好きだ。その埋もれるようなチョコレートの表現は独特で記憶に焼き付いた。たぶん彼はチョコレートが好きだったのだろう。

 そこであかぐまは思うのだ。チョコレートはあかぐまにとって視覚…たとえ映像の中にみるだけでも幸せにしてくれるのだ。いや、見た目はものすごく大事だが。チョコレートが与えるインスピレーションが心をくすぐるのだろう。見る味覚、美味しい視覚はとてもとくべつだ。











ロアルド・ダール、チャーリーとチョコレート工場Wikipedia参照。

2020年12月24日木曜日

聖夜に立体的な夢を見る。

 季節を彩るかたちをチョコレートに託す。大体そこに使われるのはホローチョコレート。薄い殻で中が空洞。それは細かい部分を壊れにくくするためとのこと。でもそれが薄さゆえにくちどけよさもプラスしている気がする。そんなホローチョコレートが好きなあかぐま。いろんな意味で夢があるからだ。

 kalidさん、成城石井さんやナショナルスーパーさんはその季節ごとにその行事に合わせ模ったチョコレートを輸入してくれる。サンタ、お化け、エッグチョコレート…季節の雰囲気と楽しさを告げる。Kinder Surpriseはいつも店頭においてくれてる。イタリア製のホワイトとミルクの2層のチョコレート。なかのおもちゃよりその殻がたのしみなあかぐま。子どもの頃はツインクルにお世話になった。きらきらの夢を噛んだ。立体のチョコレートを壊す一匙の罪悪感とわくわく感。脳にひろがる甘美がたまらない。そんな気持ちは忘れられずに、今年はクリスマス限定Lindtテディを購入。ほんとはサンタ1㎏ 10800円がほしかった…しかしほかにもほしいものがあったので金色のくまにしました。外国ではもっと大きなLindtテディがいるそうで。いいなぁ…。テディのインパクトあるおおきさ、ちょっと殻が厚め、Lindtのくちどけいいミルクチョコレート。至福。クリスマスの看板商品を食べられたので満足なあかぐま。Lindtテディには夢がある。かたちある夢を噛み応えを噛みしめなければ。










チョコレート・ココア協会サイト参照。

2020年12月23日水曜日

Hurry holy Gateau chocolat

  あぁ、キリストよ。厳密でない…本当に申し訳ない。厳格なカトリックではないので。あかぐまは都合により早めのクリスマスを執り行った。また、準備期間ももうけてないため材料買ってすぐ調理。しかしながら、その代り愛しいチョコレートは厳粛に創造した。

 いつもながら思う、私の想いは”純粋”かつ”単純”。より”濃密”で”濃厚”。チョコレートケーキはチョコレートにより近いものがいい。レシピを探した結果材料が5つ。時間は10分という素晴らしいものをみつけた。管理栄養士さんが考えたレシピは混ぜてレンジでチン。本当にあっという間、ほんのつかの間だった気がした。で、美味しい。素晴らしい。クリスマスを彩ってくれました。

 つかったチョコレートは手近にスーパーにあったGhana。ちなみにサイトで見てみたらGhanaはスイスのチョコレートをリスペクト(スイスはミルクチョコレート発祥の地、だから当時のLOTTE社長はスイス人のチョコレート工場長マックスブラック氏をわざわざ呼んで”スイス以上のチョコレート”を作らせたらしい)、それもあってか当初から真っ赤なパッケージである。maijiでもよかったのだが、Ghanaはクリスマスプレゼントみたいでよかったのだ。

 ケーキに使ったGhanaが余った。ので、メインのチキンにからめてみた。前に楠田 枝里子さんの著書”チョコレートの奇跡”でチョコレート尽くしの料理の話がのっていたもんでうらやましく思って試す。甘みに気を付けつつ調理。うん、美味。

 こうして、あかぐまクリスマスはスピーディーでビューティーに行われた。めでたしめでたし。











LOTTE公式サイト、ラクつく、チョコレートの奇跡参照。

2020年12月22日火曜日

彼女は色とりどりの姿で

  高級、しかしいろんなところでよく目にする彼女…スーパーマーケット、コンビニエンスストア、ファストフード店で…とくに冬場。彼女の名前はGODIVA。ベルギーの伯爵夫人の名である。宗教に熱狂的でそのためにお金が必要だった伯爵が領民に重税を課した。その抗議、というか懸けにより裸で領地を馬で駆け回ったことで有名。しかしながら、現在になっても彼女は有名で衣装をまとい民のため走り回っている。

 世にも色鮮やかな衣装でシーズンを彩ることで有名な彼女だが、そのためか色々なほかの有名人ともすぐ友達になる。自身の見せ方がとてもうまい。だから友達も多いのだろう。ファストフード店では、チョコレートホイップとマカロンにエスプレッソで限定ゲストで登場。コンビニエンスストアで見かけた彼女はゴージャスにデニッシュ、エレガンスなテリーヌ、かわいいケーキ姿もあった。スーパーマーケットでは、最近はやりのクリスマスの主役シュトレンになっていた。…かなり多忙だ。

 彼女に命をあたえたのは、創始者ドラップス氏だが、名付けたのは息子ジョセフの妻ガブリエル。人目を惹く衣装をコンセプトにしたのは4人の子供たちのひとり、娘イヴォンヌ。彼女の知名度は女性の貢献がかなり大きいようだ。ほかのチョコレート店と違った、そして有名店になった理由はここにあるのではないだろうか。

 さて、なぜ彼女の話をしたかというと、あかぐまは最近よく見かける彼女の手を取ったからだ。もちろん、目を楽しませる衣装に惹かれて。










GODIVA公式サイト、Wikipedia参照。

2020年12月19日土曜日

夏の艶やかな粒、果肉は冬に訪れて

  PLAZAはとてもたのしい。輸入雑貨のカラフル、きらきらコスメ、ハッピーな感じ。かわいい輸入菓子も多い。だからちょくちょく用がなくても見にいく。そして、ハッピーを与えてくれた。…”Lindtセンセーションフルーツ 880円(PLAZAでは900円でした)”!夏季限定で今年の6~9月限定で発売していましたがまさかのPLAZAでなぜか12月に、発見。あかぐまびっくり。パッケージも鮮やか、フルーツとチョコレートの大ぶりの写真。輸入菓子コーナーに彩を添えている。

 このタイプのまあるい果物の粒のような濃縮された果実にコーティングされたチョコレートで思い起こされるものといえば”BROOKSIDE”。PLAZAにも陳列してありました。Lindtのものと比べると色合いがシックでおしゃれ、ダークチョコレートベースである。フレーバーもベリーをもとにヴァニラやアルコールを混ぜたものもある。ダークチョコレートとベリーの相性がすごく考えられているってかんじがする。調べてみたらあのHershey'sの公式サイトに載っている。

 一方、Lindtのものは今年発売されたもので”マンゴー&パッションフルーツ”、”フランボワーズ&クランベリー”、”ブルーベリー&アサイー”、”オレンジ&ピンクグレープフルーツ”の全4種類。PLAZAではフランボワーズ、ブルーベリーがは店頭にあった。匂いが芳醇、どちらかというと果物の甘さが強い感じがする。その他、グランデ(ナッツの板チョコレート)のシリーズもあったとか。…知らなかった…食べたかった。”フランボワーズ&クランベリー”と”ブルーベリー&クランベリー”毎夏季(6~9月)に発売されてるそう。買わねば。

まぁ、これはこれで冬場に夏の味が楽しめるということで、なんだか乙なものを感じているあかぐま。まさかこれもPLAZAの狙いなのかな…だとしたら小悪魔的な戦略…と思うのだった。










Lindt、BROOKSIDEHershey'sサイト参照。


2020年12月14日月曜日

ある日、西友さんに…ネスレミルクチョコレート

  ある日、西友さんにあかぐまはたちよった。大好きなチョコレートにあかぐまは出会った!2018年に初上陸した”ネスレ ラトリエ 438円”…ナッツとフルーツがふんだんにつかわれた贅沢なシリーズだ。当時はサイズが小さく春の訪れとともにきえてしまってショックを受けた。しかしながら、西友さんにサイズが大きくなって帰ってきたのだ!!(約170g)10月にそれを知った時にすごく喜びましたあかぐま。スイス製のチョコレートならではのクリーミーなくちどけ。ドライフルーツの噛み応え。Lindtのグランデシリーズ 777円(ホール、ダイスナッツを30%以上使った板チョコレートのシリーズ)よりはナッツは少なめだがドライフルーツ多めである。同じく西友さんに売っている”アズダ ナッツフルーツミルクチョコレート ドイツ製 248円”より少々お値段高め、しかし、違いをあじわってみるのもまた一興。

 シリーズは”ミルク レーズン&ナッツ”、”ミルク クランベリー&ナッツ”、”ダーク ブルーベリー&ナッツ”である。さすが、ネスレ。まとめかたがうまい。パッケージも全面にチョコレートの写真が使われていて食欲をそそる。かわいい。ラトリエは”アトリエ(工房)”を意味し、職人のハンドメイド精神にインスパイアされとのこと。

 いまでは大企業、創始者、スイス人アンリ・ネスレはチョコレート4大発明の一助となっている。1875年にミルクチョコレートを創り出した同じくスイス人ダニエル・ピーター。当時のョコレートは油分が多く、水とは混ざりにくい。ミルクの水分を取り除く必要があった。そこで育児用粉乳を発明していたネスレ社と協同開発のミルクを使用したのがミルクチョコレートの始まり。

 ちなみに、あかぐまは3種類の中ではミルクチョコレートのクランベリー&ナッツが好きだ。クランベリーはジューシー、ナッツはごつごつしていてワイルドでネスレのミルクはマイルドだ。相性は抜群。さぁて、あじわいましょう。

流通ニュース、チョコレートココア協会サイト参照。

特別な、日、めくり

 11月末には店頭から消えてしまうアドベントカレンダー…ある特別な1日を楽しみにする日めくり。アドベントとはキリストの降誕を待つ期間のこと。さいきんではあたりまえのように12月1日はじまりが定番だがクリスマスから4日曜日前が宗教的には正しいらしい。日めくりの扉を開くと宗教的な絵がかいてあり子供たちの気を引くためにチョコレートを入れたとか。

 有名チョコレート店がこぞって作り、世界中の人々の間でもチョコレート入りのアドベントカレンダーが人気、風物詩となっている。ところで、あかぐまは気になってAmazonさんでチョコレートのアドベントカレンダー売れ筋ランキングを調べてみた。結果がこちら…

1位はLindt クリスマステディ°˖✧2,430円

2位はモロゾフ ホリデースイートカレンダー°˖✧3,699円

3位はロイズ アドベントカレンダー°˖✧5,200円

4位はLindt ドベントカレンダー クリスマスマーケット°˖✧2,950円

5位はIKEA アドベントカレンダー°˖✧2,398円

 こうやってみるとお手頃価格なものが人気。Lindtのテディはやっぱり目立ちますもんね。

 他にもラメゾンデュショコラ…すこしかわった赤い箱、ヴェンキはチョコレート工場のイラスト付きの本型に引出しがついている。カフェタッセまで出しているとは知らなかった。調べてみるとみんな宝石箱のようにきらきらで華やかなクリスマスのひと時のかざりとして大きな役割を果たしている。どこのチョコレート店も力を注いでクリスマス限定商品を展開している。やっぱりクリスマスは豪華でいいなと思いつつ、目移りしながらチョコレート店の努力を賞味できることに、喜びを感じるあかぐまだった。


Wikipediaアドベントカレンダー参照。

2020年12月13日日曜日

ショコラ show time

  皮膚が凍てつく風がふくと部屋の中で温かい飲み物とチョコレート…いや、ココアでもいい。あの香りであたたまりたい。

 かの有名な”ショパン”は毎朝恋人が作ってくれたショコラ・ショー(フランス語、ホットチョコレート)を飲んでいたらしいし、多くの人が知っていると思うがチョコレートのはじまりは飲み物だ。メソアメリカで作られ王たちが飲み、スペインでは王侯貴族から時代を経て庶民まで飲んでいた。その頃は、香辛料(シナモン、唐辛子)やバニラを入れたり、ヨーロッパにわたる頃にはサトウキビを加えとても濃いので水と一緒に飲んでいた。また、スペインの芸術家はワインを沸騰して作っていたとか。そもそも、チョコレートをヨーロッパに持ち込んだ1517年スペインの征服者(冒険家)エルナン・コルテスがアステカを訪れた際国王に振舞われた国王の好物「ショコラトル(ナワトル語、スペイン語)」を金のゴブレットで乾杯。「そのショコラトルはバニラと香辛料の風味があり、粘りつく蜂蜜の泡もきちんと少なくして作られており、それが口の中で段々と解け冷たさを取り去った」当時冷たい飲み物であったチョコレートだが、からだをあたため、国王は滋養強壮、そしてコルテスにはハレムに行く前の媚薬、ハッピーにさせるため飲ませたのでは…とのこと。いまでもヨーロッパの方でホットチョコレートは冬の飲み物。かなり濃厚、スペインでは朝食にチュロスとともにいただく…おいしそうだ…。

 あかぐまも理想とするホットチョコレート(またはココア)は濃厚でなくてはならないと思っている。また、昔のチョコレートになぞってスパイシーに、自身でカスタマイズしてつくっている。ここで少し紹介しよう。

♥まずお湯を沸かしながら、マグカップを用意。スプーンにピュアココア2杯。

♥そこに、シナモン、胡椒(できればホールをミルでつぶして)チリペッパー、蜂蜜(またはきび砂糖)を投入。

♥沸騰したお湯を少々注ぐ。かき混ぜる。

♥今度はカップに適量お湯(またはミルク)を注ぐ。ミルクの場合は500Wで2分チン。できあがり!

これを、ティータイムにチョコレートとともにいただく。まさに至福。かなりあたたまる。また、メランコリーな同居人のもちさんが落ちこみ気味の時に振舞うととても喜ぶ(ちなみに、もちさんはきび砂糖でミルク派)チョコレートにはセロトニンを上げたりと色々研究で分かってきているが、昔の人々も感覚的にどっぷりとチョコレートの飲み物がもたらす多幸感に浸っていたのだろう。さて、あかぐまもその余韻に浸ることにしよう。


Wikipediaホットチョコレート、チョコレートの歴史参照。

2020年12月11日金曜日

甘いチョコレートの部屋

 本は読むが、あまり多くの本を読めないあかぐまは狭く、ある意味深い趣味傾向である。気に入ったものを幾度となく読むのだ。また、この著者の本がいいから違うものも読んでみようとはならずその著者のその本だけを読み続ける。多分世界観に浸るのが好きなのだ…そんなあかぐまが、めずらしく著者に感動し小説のみならずエッセイまで買ったそのひとが、森茉莉さんである。

 ずいぶん後で知ったのだが森鷗外の娘である。最初に出逢い、はまった彼女の小説は”甘い蜜の部屋”…完成するのに10年かかった長編小説である。彼女自身の幼少の頃の生活経験、感性を交えつつ美しい少女”モイラ”の人生に絡み合う人間模様覗かせてくれる、そんな小説だ。緻密で情緒的な描写がはまるきっかけだが、彼女の著者あとがきにも興味ひかれてた。

 「そういう私にも、ドコンジョーとヤッタルデで取り込むことがたった一つだけである。それは自分のたべるものをこしらえることで、目下三日おきにこしらっている常用のお菓子にはドコンジョーで立ち向かっている。板チョコを好みのこまやかさに砕いて、次に角砂糖を下ろし金で三分の二程すりおろし、その粉を砕いたチョコレエトにまぶす。残り三分の一の角砂糖を、板チョコと同じ位細かさに砕いて、それも混ぜるのである。切り出しで割るのに、むずかしい大きさの好みがあるので、それをこしらっている間は全ドコンジョーがその作業に集中している。食事の支度も同じだから、ずいぶん時間もかかる。私の職場である、寝台の上を見た人は例外なく、内側が白で外側が薄クリイム色の中型ボオルに盛られたチョコレエトを不思議そうに見る。見たことのないお菓子だからだ。…というわけなのでお菓子製造のほうは、小説よりもドコンジョーでこしらえるがたいして辛いとは感じないのである。」

お分かりだと思うが、チョコレエトを題材にしたエッセイ集にその名が乗るほど彼女は、チョコレイトを嗜好していた。彼女のエッセイには”瑞西、英国製の板チョコレエト”がよくあらわれる。以下、あかぐまの勝手な妄想だが、彼女のエッセイのなかには硝子もよくでてくる。美しい硝子に自己投影しているようだ。書くことは苦戦していたようだが、硝子の光に目を当て、チョコレエトを齧り、悦に入り自分の部屋で緻密な世界観を仕上げたのではないだろうか。彼女は自分の生活を丁寧に愛していた。そんなところが素直に共感できるし、彼女の文章に浸りたいと思う。そしてその世界観を創る一助になっているであろうチョコレイトに感謝しつつ、あかぐまは部屋でチョコレエトを齧る。

甘い蜜の部屋 参照

2020年12月8日火曜日

どうして、こんなに、マリアージュ

  温かい陽射しの中、あの頃、築地の病院へ通っていたあかぐまは、銀座まで散歩した。どちらかといえば後者がメインである。同居人のぬぴさんと診察疲れを引きずってお茶するところを探していた時、裏路地に面した松屋のラメゾンデュショコラにたどり着いた。

 当時、ショコラトリーにあまり縁のなかったあかぐまがチョコレートのお店という甘美な語路に疲れが吹き飛んだことを覚えている。お店は落ち着いた深いチョコレート色合い、照明を落としたシックなかんじで席数は少ない、昼はカフェ、夜はBARになりそうだ。

 はじめて食べたラメゾンデュショコラはシンプルなフィガロ(アーモンドとヘーゼルナッツのプラリネ)とサルヴァドール(フランボワーズの味)のボンボンショコラ、そのお供にマルコポーロを注文した。

 マルコポーロ…初めて聞いた名前の紅茶で(後で知ったがマリアージュフレールのフレーバーティー)メニューの説明には”フルーツとお花のお茶”と書いてあった。(中国のフルーツとチベットのお花)そして、驚いた。味は、口の中でお華がひらいた気がした。ヴァニラも香っていた気がする。そしてフルーツの芳醇なとろみと甘み。儚いのに残り香を舌の上にいつまでも残す…紅茶にここまで感動したことはなかった。

 この紅茶でもう脳がやられたが更なる驚きは、チョコレートとの相性だった。ここまで個性的なお茶ではチョコレートがかすんでしまうのでは…と心配ご無用、もちろんチョコレートは、脳をとろかす味わい…そこに華やかに彩りを添える、至極、であった。

 しばらくマルコポーロとチョコレートのマリアージュにおぼれるため足繫く通ったが、松屋のラメゾンデュショコラがギフトショップのみになってしまった。残念だがそこであきらめるあかぐまではない。ネットで検索しラメゾンデュショコラの青山店に出向いた。宝石店のような重厚感ある明るい店内だった。1階がショーケース、2階がカフェになっていた。そこでまた新たなであいがあった。1688グラン・ロゼ(1688年にパリの司教様が残した伝説のレシピを復元して作られた、 フランス製最高級ノンアルコール・スパークリング)である。ノンアルコールのスパークリングワインで少し甘い、切れ味もあるが優しい。チョコレートとの相性が最高だった。ノンアルコールだが、酔っぱらった。そうかこれがマリアージュというものなのかと至極納得したあかぐまであった。

 他のショコラトリーもそうだと思うが、宇宙のように複雑なチョコレートの味わいに合う選び抜かれた飲み物に出会えるこの幸せ、いったい誰が選んでいるのであろう…とにかく一種の空想の世界に飛ばしてくれるラメゾンデュショコラのチョコレートであるがそこに一匙色を添えてくれる飲み物…考え抜かれた世界観は参りました、のひとことである。









松浦利右衛門商店サイト商品説明参照

金の珠玉

 チョコレートはもっぱら外国製とくにヨーロッパが原産国のものがお気に入りで、あかぐまは、売り場ではそのことを気にしつつ海外のきれいなパッケージに目を向け味わい想像しながらどれを購入するのか迷うのだが、どうしても意識の中にはいってしまうもの…その鮮やかな赤、白いレースの模様と金の文字の包装紙に包まれたまあるいチョコレートが入った袋。…Lindtのリンドールである。(このレース模様はスイスの伝統的なものらしい)

 その口に入れた時のミルクの芳香とくちどけは他では味わえない五感を記憶に焼き付ける。

 というのも、Lindtの生みの親であるロドルフ・リンツはチョコレート四大発明した1人でチョコレートを飛躍的に向上させた人である。コンチングという方法で当時では考えられない至高のくちどけを生み出した。その技法をメートル・ショコラティエが受け継ぎ生み出されたものがリンド-ル。

 ”Lindt”とフランス語で金の意味の”オール”の組み合わせであり、シェルとフィリングの2層からなり、その愛らしいまるのなかに色々なものがつまっている。

 リンドールが生まれたのは60年以上も前、1949年にクリスマスに間に合うように発売された。その姿がクリスマスデコレーションのようでその至極の味わいは当時のスイスの家庭で広く愛された。新年早々お店から消えてしまったリンドールをスイスの人々が熱望。その願いを受けショコラティエ達は、毎月リンドールを楽しんでもらおうと様々なリンドール製品を創り出した。

 チョコレートバー、イースターエッグ、豊富なフレーバー…こうして年中人々に愛されるチョコレートになったのだった。

 Lindtのお店に行けばわかるが、最初に目につく色とりどりのあの美しい輝き、この時期に是非食べたくなる逸品だ。

Lindt公式サイト、リンドールの歴史、商品紹介参照。

2020年12月7日月曜日

であいはとつぜん。運命的に

 あかぐまとチョコレートとのであいはとつぜんだった。

 いまでもおぼえているはじめましてのチョコレートは、船乗りだった祖父の家へ遊びに行って、貰った明治の(当時はまだ筆記体で黄金の文字…貰った当時は2さいぐらいだったらしい)ミルクチョコレートのBOX26枚入り、箱の色は濃いチョコレート色であった。

 あのずっしりとした重さ、金色の包装紙はとても特別なものに見えた。ひとくちめはとてもとてもあまかった。言い例えができないくちどけと濃密、その印象的なものはあかぐまのとって美味と感じるのにそれほどかからないものだった 

 その後は、自分の中で処理できないファーストインパクトをなんとか理解するため一列、丸まるあっという間に平らげた。

 いまの明治のサイトの商品紹介には「永遠のピュアチョコレート 芳醇なカカオとミルクの味と香りが楽しめる、明治を代表するピュアチョコレート。食べやすいひと口サイズです。」とかいてある。

 なるほど、原因はあまい香りと食べやすいひとくちサイズ感か。どうりで。

 こうして幼少期のあかぐまはなにがなんでもべたいもの=チョコレートの方程式が出来上がって賞味しつづけた結果の現在である。

明治チョコレートサイト商品情報参照。