2021年12月5日日曜日

黒は色じゃあない

 高校生のころ。自分は美術系の総合高校に通っていて学んでいた。
 そこでデザインの授業だったか、個別講評のときだったか言われたのが
「黒は色じゃない」
という言葉だった。
えっ?である。いや、
はあ?ですね。

 当日の自分の作品は黒が基調だったのだ。黒を使えるなら、つまらないデザイン課題をやってもいいと思っていた。その矢先にこの言葉である。
 いや、いいたいことはわかる。黒は影と光を表してデッサンの……いや、わかんないかもしれない。
なんで?である。だとしたら死を表現してる喪服の色は?ガブリエル・シャネルが舞踏会に着たドレス色は?
 あれは何色?
デザインや美学生絵画で黒をつかうのはよくないって意味かもしれない。それも、わけわからん。
 黒はすごく強い。画面で使うって覚悟をもってやらなきゃ脚引っ張る。下手に使うとそこだけ浮いてみえる。絵のバランスがとれないってやつである。あと、うまく黒を使うことができる人であるなら作品は何でもカッコよくみえるのだ。それは理解できる。

 しかし、それ関係なく学生時代の自分は黒が好きだった。黒色を使い自分を表現したかったのだ。
 小学校6年のとき、自分に絶望し自分という存在を消すのに黒はやさしく寄り添ってくれた。それきっかけで黒に出会い、黒の魅力にとりつかれ描きたいと思うのはいけないことなのか?技術がないから?色と構成の勉強であるデザインの授業で色でない黒を下手に使うのはいけないことだから?

 それが今でもわからない。
そもそも、絵を描くテクニックに描きたいものが邪魔されていいものなんだろうか。学生は未熟だからといって好きなものを捨てなければならないのか。
 確かに自分の予備校時代もテクニックは半人前。絵もばたばた。なにいわれても仕方がない。
 でも、描きたいものがあった。あるのに受験美術ではそれが後まわしにされ、描くことも許されないという大前提は、なんなんだろうか。

 それってアートなんだろうか。
美術ってなんだろうか。
未だにそれがわからない。








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